ぶどう産業に起こした革命 2/4 – 皮ごと種無しの技術

シャインマスカットが広く愛される理由について考えると、確かにその特徴的なマスカット香や適度な甘味と酸味のバランスが挙げられます。しかし、それだけでなく、「皮ごと食べられ、種がなく、食べ終わった後のゴミがでない」という利便性も大きな要因です。特に、種のないぶどうをつくる技術がシャインマスカットの広まりに重要な役割を果たしました。

通常、植物は種子を生産することで次世代の繁殖を目指します。しかし、シャインマスカットでは種がないにも関わらず果実が肥大化することが成功しました。これは、適切なタイミングで植物由来のホルモンを利用し、植物に種ができたと錯覚させることで実現されました。

また、「皮ごと食べられるかどうか」については、技術のみならず品種毎の皮の厚みに依る部分もあります。この観点で品種改良が進むことで、シャインマスカットのように皮ごと食べられる品種が誕生しました。

種をなくす技術の発展は、果物の「食べやすさ」に関する新たな視点をもたらし、品種改良の方向性を変えました。この技術革新が、シャインマスカットのような画期的な品種の育成につながりました。その結果、シャインマスカットは消費者にとって非常に魅力的なぶどうとして広く受け入れられることとなりました。