ぶどう産業に起こした革命 1/4 -ぶどうの品種改良と親品種の話-

品種改良における掛け合わせのプロセスは、果物の品質や特性を向上させるために重要な役割を果たします。豊洲市場の職員が作成したぶどう品種の家系図は、その多様性と複雑さを示しています。これを見ると、特定の品種から派生した多くの品種が存在することがわかります。

シャインマスカットの例では、その親品種である「安芸津21号」と「白南」の掛け合わせが行われました。これらの親品種それぞれが、異なる特性や特色を持っています。「安芸津21号」は米国の「スチューベン」と欧州の「マスカットオブアレキサンドリア」を掛け合わせて生まれた品種で、果肉の肉質や香りが特に優れています。一方、「白南」は山梨の植原葡萄研究所で開発された品種で、大粒でありながらもマスカット香を持ち、食味も優れていますが、果皮に汚れが出るなどの問題があったようです。

この2つの親品種から、さらなる品質向上を目指して新しい品種の探求が行われました。約600個体の「安芸津21号」を用いた交配と、「白南」を用いた115組の個体から、欧州ブドウの良好な果実品質と米国ぶどうの高い栽培性・耐病性を持ち、肉質に優れ、大粒で食味も良好な品種が選抜されました。それが今日の「シャインマスカット」として広く知られるようになりました。

このように、果物の品種改良は綿密な選抜と交配のプロセスを経て行われ、消費者にとって美味しい果実を提供するための努力が続けられています。